「―――――…け」

「―――…ぼすけ」

「ねーぼーすーけー!!!!」


近くでリアルに聞こえた声に、ビックリして目を開けた。目の前には見慣れた顔があった。



…え?寝てた?


気が付くと、大学内にある中庭のベンチで眠ってしまったらしい。


てゆーか…。


「おはよう」

「…………」

確実に、わざと大声で起こしたに違いない。


「ん?もも?」


私を大声で起こした人物が、私の顔を覗き込んだ。


その人物が、ニコニコと私の背中を覆うくらいの長い髪を、一束もってツンツン引っ張る。



「…………」

私が軽く睨むと、瞬きを繰り返す。


「…え!!俺!?」


「…普通に起こして」


「…………」

ふてくされた様にしかめっ面になって何も言わない。


何なの。その不満そうな顔は。

「………何」

たっぷり嫌味っぽく聞いてみると、

「…我儘…」


とポツリと言った。




軽くムカついた私は、

おもいっきりほっぺを引っ張ってやった。