抱き締められた温もりに、目を閉じて慶兄の胸の鼓動を聞いた。 強く優しい鼓動に、私は身を委ねて慶兄の香りを胸一杯に吸い込んだ。 爽やかな香りに、心が落ち着く。 優しく頭を撫でてくれる手が、心地好い。 額に落とされた唇が、何だかくすぐったい。 胸が疼くように、切なく泣いているようだった。 暖かい温もりに、泣き疲れた子供のように、慶兄の腕の中で私は眠りの世界へ旅立っていった。 ゴメンね…慶兄………。