優しく啄むように、軽く吸い付くように何度も着地する唇に、抵抗もなく身を委ねた。



今も、私は慶兄を傷付けてる?
幸せだと思ってもらえてる?



そう思った所で、私はなんて酷い女なんだろうと思った。



結局は、私はいい子でいたいだけなんだ。


恋愛は、時に誰かを傷付けてしまうんだ。


私は、自分がいい子でいたいだけで、ハッキリしない。



ゴメンね…ゴメンね……。



心の中で、何度も慶兄に謝った。でもやっぱりそれも、ただの自分のエゴに違いない。



そう分かっているのに、何も言えない私は、やっぱり卑怯で酷い女だ。



「っ…ふ、んっ」



甘い痺れに頭がクラクラする。私の中を掻き回すように、優しく慶兄の舌が私の中をなぞる。



体の芯が、熱くなるように疼きだし、自然と慶兄の舌に自分の舌を絡めた。


いつの間にか、応えようと唇を重ねている自分に、ハッとして目を開いた。



微かに抵抗するように、慶兄の胸を押すと、慶兄の手によって両腕を捕まれてしまった。



そのまま押し倒すようにソファーに押さえ付けられ、驚く間もなく熱いキスで何も考えられなくされてしまった。


片手で私の両腕を押さえ付ける慶兄は、甘い視線を私に向けた。



痺れる感覚は、とても気持ちがいい事なんだと、再び首筋に顔を埋める慶兄によって私は気付かされてしまった。