「ゴメンな…らしくねえよな~。嫉妬しちゃったよ」


「……しっ、嫉妬…?」



慶兄が?嫉妬?…何に?


何を言い出したかさっぱり分からす、思わず聞き返したが、慶兄の胸元に顔を埋めているせいで籠った声が聞こえる。



押し付けられた慶兄の体は、ゴツゴツしていて固い。

そして、とても熱かった。




「ももの好きな奴。…そいつのせいで泣いてたんだろ?」


「…え、えっ…と」



何て言えばいいのか分からず、まともに返事ができない。


体が言う事を聞かず、震えが止まらない私を、慶兄は優しく抱き締めたまま話を続けた。


「ももが誰を好きでもいいんだ…幸せだと思えるなら。でも…、」


「………」



何も言えず、慶兄の言葉に耳を傾けた。

慶兄の気持ちが、嬉しかった。


でも、私はどうすればいいの?



「そいつのために泣くなら、俺は我慢できねえなあ…」


「………」



胸が苦しい。グッと詰まる物があって、目を強く閉じた。



「相手が相手だし…尚更な」