「もも…俺はお前を守りたい」



思わず言われたセリフに、目を見開いた。


「え…えと…」



そんな私に向かって、慶兄はふっと表情を緩めた。


「好きな奴はだいたい誰か分かる。でも…」


それって…るぅの事を言っているんだろう。


言葉も出ない私に、慶兄は優しく微笑んでいる。


言葉が途切れてしまった慶兄を、瞬きもせずに見つめ返すしかできない。


心臓がトクトクと鼓動し、息がしずらい。


頬に添えられた手が、優しく撫でている。

スッと親指で唇をなぞられ、思わず背筋がゾクリとした。



「一緒に居てほしい…。好きじゃなくてもいいから」


「一緒に…?」



好きじゃなくてもいいから…?


引っ込んだはずの熱い物が、目頭を熱くした。



私は…どうしたいんだろう。

どう返事をすればいいの……



慶兄の気持ちが、痛い程伝わってくるようだ。


触れた場所から、熱を持ったように私を熱くしていく。

その熱は、やがて目から溢れるように頬を伝わって、慶兄の手を濡らした。





「俺は…ももを一人にしない」