「…もしもし」
恐る恐る耳に携帯を当て、返事をしたが、鼻が詰まってこもった声が自分でも分かる。
『泣いてんのか』
怒っているような、心配しているような雰囲気が感じ取られ、思わず口ごもってしまった。
『…もも?今どこだ?』
優しく問い掛けられて、思わず口元が震えだしてしまう。
「たっ…たくしっ…家…っ帰る」
やっとの事で吐き出した言葉は、何を言っているのか理解するのもやっとだろう。
「…ももの家で待ってる。ちゃんと帰ってこいよ?」
見えていないのに、うんうんと頷く事しかできず、ただ静かに溢れる涙を流すしかなかった。
やっぱり私は、泣き虫なのかもしれない。
家に着くまでには止めてしまいたいのに、涙は引っ込んではくれないようだ。
こんな事で、こんなにも泣いてしまうなんて、自分で自分が情けない。
知ってしまった事実は、私には余りにも衝撃的だったようだ。