突拍子もない出会いから、まさかラブホテルにまで行ってしまった事を思い出し、それと同時に呆れて顔が緩んだ。
そんな事…覚悟してたんじゃないの?
どうしようもないやり切れなさと、寂しさ、切なさに押し潰されそうになった私は、自分を傷付ける事でそれから逃げようとした。
痛みを感じれば、目の前の現実から逃げる事ができる気がして、見ず知らずの夏希に付いてく事ができたんだ。
でもそれは、ほんの一時でしかないに違いないだろう。
それでも良かった。
瑠衣斗の腕の暖かさを、広い胸の鼓動を、低く芯まで響くような、心地好い低い声を、熱い唇の感触を消してしまいたかった。
こんな気持ちになるのなら、恋なんて知らない方が良かった。
人を好きになんて、ならない方が良かった。
窓の外は、賑やかなネオンが瞬き、その景色が滲むようだ。
頬を伝う雫は、外気に触れてひんやりと頬を伝った。
私……泣き虫なんかじゃないのに…。