「まあいい時間かな。これから仕事なんだよな~」


ベッドから抜け出した私の後ろで、夏希が欠伸をしながらそう言ったので、思わず振り返った。


「やっぱりホスト?」



そう言った私に向かって、一瞬驚いたように目を見開くと、すぐに口元を緩めて笑ってみせた。


「似たよーなモンかな。メンパブで働いてます」


「へえ~」



だからホストっぽいのかな?スーツではないけど、髪の明るい色や髪型、付けているアクセサリーや靴がそう思わせる。


「ちなみに枕も色恋もしねえよ?」


「聞いてないからっ」



目を細めて、いやらしく口の端を持ち上げて笑う夏希は、確かに女受けが良さそうだ。

反対に、サッパリした性格も、男性客にも受けるんだろう。


「今度来いよ。ボトルサービスしてやるよ」


「え、いいの?」


ソファーに座った夏希は、テーブルに置いてある煙草を取ると、口に加えて火をつけた。


「俺が拾ったからな~」



吐き出した煙草の煙を目で追いながら、のほほんとした夏希の言葉に、思わず頷きそうになって慌てて留まった。


「…ペットにしないでよ」