もう、無理。


普通には一緒に居れない気がする…。



ふと頭に過った自分の考えに、現実に戻されたように目の前がクリアになった。



そうだった。るぅとはただの友達だよ。



さっきとは全く違う、冷静に落ち着いている自分の心に、内心驚く。



「るぅ。私、先に行くね?りなさんとゆっくりしなよ」



冷静な自分の声と、自然に笑えた事に違和感を感じた。



…違和感?違う。私は昔からこれが普通だったんだよ。



「…も、も?」



驚いた表情のまま、瑠衣斗が戸惑うように私の名前を呼んだ。


「りなさん、じゃあまた」


「え…あ、うん!!」



心がスッとしたようで、彼女の名前も普通に呼べた。


おまけに笑顔まで取り繕う事なく向ける事ができた。



席から鞄を取り肩に掛けると、再び二人に笑顔を向け、そのまま背中を向けた。



最後に見た“りな”さんの笑顔は、何だか勝ち誇ったような表情だった。