「るいっ!!」
再び俯きかけた私は、大きな彼女の声によって顔を跳ね上げた。
「…………」
まるでスローモーションでも見ているように、“りな”さんが私と瑠衣斗の間を割って入ってくると、瑠衣斗の首へ腕を回し、目の前で瑠衣斗の唇を塞いだ。
目の前で起きた事に、周りのざわめきなんか耳に入ってこなかった。
頭を鈍器で思いっきりなぐられたような衝撃が走り、身動きが取れない。
全身の力が抜けたように、ただ無気力に二人を見る事しかできず、ただ呆然と立ち尽くしたままだった。
「ちょ!?何すんだよ…」
バッと“りな”さんから離れた瑠衣斗は、困惑した様子で目を見開き、彼女を見詰めている。
「そんなに驚かなくても……初めてじゃないじゃん?」
じっと瑠衣斗を見上げる彼女は、首を傾げて笑っている。
……初めて…じゃない?
絶望にも似た感覚に、体の震えを止める事ができない。
私は…やっぱりただの気まぐれで……?