「もも」


再度名前を呼ばれ、渋々椅子から立ち上がった。



「りな、また来るからっ」



立ち上がった瑠衣斗を見上げたまま、彼女は力一杯にそう瑠衣斗に向かって伝えた。



やっぱり私居ない方がいいじゃん…てゆーか、こんな場所じゃなくても………。



「ももちゃん」


「………えっ!?」



頭の隅であれこれ考えていた私は、突然呼ばれた自分の名前が、瑠衣斗ではなく彼女だったと言う事に、曖昧に返事をしてしまった。


「この間はごめんなさいね?」


申し訳なさそうに言うが、目が笑っているようで背筋に嫌な寒気が走ったようだった。


「別に…気にしてないしもういいです」



この人は、何がしたいんだろう。

強気な態度とは反対に、気が引けてしまう。



「りな、余計な事言うんじゃねえ」