一瞬軽く眉を寄せた瑠衣斗は、そのままフリーズしてしまったように、動かない。
私は…どんな表情しているんだろう。
何…言ったの…?この人…。
なおも瑠衣斗に抱き付く彼女は、おもむろに目線を上げると、私にチラリと視線を向けた。
口元を軽く釣り上げて見せた彼女を、私はただ見つめるしかできなかった。
「りな、るいが好き」
瑠衣斗に抱き付いたまま、私をいやらしく見たまま発せられた言葉は、私に向けたモノなのか、瑠衣斗なのか分からなかった。
まるで、ここには存在していないような、体の神経が無くなってしまったような感覚に、ただ彼女を見詰めるしかできなかった。
「…おま…急…に何言ってんだよ」
戸惑ったように応えた瑠衣斗は、横目に彼女を軽く捉えて口を開けた。
私…っていわゆる邪魔者……に違いないんだろうけど、さっきの彼女の目線は…。
どうしよ…立ち去るべきなのかな?
そう考えた反面、胸がぎゅうぎゅうと締め付けられたようで、息が苦しくなった。