何となくスッキリしないけど、これ以上何も言わなさそうな瑠衣斗に、私は軽い溜め息をついて煙草を吸った。
「なあ…」
顔を上げると、窓の外を見たままの瑠衣斗が、のんびりと声を出した。
太陽の光が瑠衣斗に降り注ぎ、髪を金色に染めたようで、色素の薄い瞳は、吸い込まれるように深い。
「あれから泣いてねえ?」
「……え」
言われるとは思っていたけど、まさか今このタイミングで!?
「なっ、泣いてないよ」
「へえ?ならいいけど」
口元を釣り上げながら笑う瑠衣斗は、昨日の出来事を思い出させるようだ。
やめて。思い出させないで!!恥ずかしいから!!
「…おかげざまで元気です」
「ふうん?真っ赤だけど」
「!?」
あぁ…ダメだ。私…瑠衣斗に振り回されっぱなしじゃん。
悔しいけど、一緒に時間を共有できる事が嬉しい。
一緒に、笑える事が嬉しい。
すぐに、不安で心は曇ってしまうけど、些細な瑠衣斗の一言が私を沈めたり浮かせたりするんだ。
恋って、不思議だね。