もう出ないと言うくらい泣いたはずなのに、瑠衣斗の顔がゆらゆらと揺れ、見えなくなっていく。



本当はいつも、寂しかった。


周りの同情する声や、励ます声は、私をどんどん追い込むばかりだった。



そんな中、いつの間にか私は、口を閉ざすようになった。


無駄に感情を表さず、感じないようになった。



好奇心の目から逃げたくて、同情の声に心が揺れ、私は疲れてしまったんだ。


私は、周りに壁を作るようになっていた。



「今回は、俺が悪かったんだ。俺がももを傷付けたんだ」


優しく頭を撫でてくれる手は、やっぱり私の涙腺を緩めさせてしまう。


俯いた先に、ポタポタと雫が零れ、スカートに染みを作っていく。



「寂しい時は、俺がずっとそばにいるから…」



優しく低く響く声と、どこかで聞いた事のあるようなセリフに、グッと胸が締め付けられたように息がつまる。


胸の締め付けは、すぐに嗚咽となって消えてしまった。



「ももの涙は…綺麗だな。キラキラした色で光ってるみてえ」


スカートに落ちる度に、弾けて輝く涙は、証明の光を受けて小さく輝いていた。



私は、瑠衣斗のおかげで泣き虫になってしまったらしい。


「泣きたい時にこうやって泣け。泣き虫」



クスクス笑う瑠衣斗は、優しく頭を撫でながら、片方の手の親指で涙を拭ってくれた。




「う…ぅえっ…は、はげっ」



「親父もじーちゃんもふさふさだ」