「よっこいしょ」
声が掛かったと思うと、ふわっと体が浮いた気がした。
でも、涙を止めるきっかけにはならなかった。
唯一分かった事は、逆転して瑠衣斗がソファーに座り、私を膝の上に乗せて抱き締めていると言う事だけだ。
体制が逆転した事で、瑠衣斗の肩の近くに顔を埋めると、乾いた場所に新しく涙が染みて行く。
瑠衣斗の胸元は、涙で余裕にベタベタにしてしまった。
自分でもビックリするくらい、こんなに涙って出る物なんだね。
溜まりに溜まった物が、溢れ出ているみたい。
胸に詰まってしまっていたモノが、吐き出されて行くようにスッキリしていくようだ。
子供のように泣く私を、瑠衣斗は優しく抱き締めたまま、ポンポンと背中を叩いてくれている。
グッと瑠衣斗にしがみつくと、それに応えるようにして腕に力を込めてくれた。
