下唇をぐっと噛みしめ、声が出ないように耐えたが、嗚咽と共に声が漏れる。



「ちっ…っぅ、ちがうっ…」



違うもん。るぅが変な魔法でも使ってんだよ。


頭の中で並べられた言葉は、口から出る事なく、嗚咽に混ざって消えてしまった。



「我慢すんなって言ったじゃねえか。強がり」



もう、まともに喋る事もできないと思い、必死で頭を横に振った。


瑠衣斗が優しく頭を撫でてくれる度に、どんどんと新しい涙が溢れ出てくる。


最後に泣いたのがいつかも覚えがない。



何年ぶりに決壊した涙腺は、壊れた水道管のように、涙が止まらない。



私は、涙を拭う余裕もなく、ただひたすらに瑠衣斗にしがみ付いた。



私の頭の中で、様々な家族との思い出がスクロールしていく。



胸がズキズキと、悲鳴を上げて痛むようだ。