真っ暗な家が、目の前に迫って来ると、胸が悲鳴を上げるように切なさに襲われた。


頭…痛い。


突然頭全体を、鼓動と共鳴するように響く頭痛により、頭を抱えた。


「はぁ…はぁ…っ」


冷や汗が額を伝い、目の前の焦点が合わない。


割れそうな程圧迫されているようで、頭を片手で抑えて必死に壁に寄りかかった。



何これ…。



「もも…?」


聞こえる筈のない声に、本気で幻聴でも聞こえてしまったんじゃないかと思い、内心笑える。


「おい、どうしたんだよ!!」


グッと体を支えられ、それが幻聴ではない事に驚くと同時に、ぼやけた瑠衣斗の顔が目の前にあった。


「る…なんでえ…」


弱々しく出た自分の声に、本気で自分の体がおかしいんじゃないかと思ってしまう。


「慶兄の所行くか?どうしたんだよ」


「いや…家で…いいから、…っおねが…」



渋るような表情は、何となく見えたが、瑠衣斗は何も言わずに私を横抱きにした。