「…そろそろ帰ろうかな。ちょっと疲れちゃった」


時計は、夕方の5時を少し過ぎた所だ。


鞄を持って立ち上がると、美春が心配そうに見上げた。


「え…もも、大丈夫?」


「何が?寝れば大丈夫だよ!!」


きっと、昼間の事を言ったに違いないが、気付かないフリをした。


「帰るかあ。久々に全員集合だと思ったんだけど、疲れてるなら仕方ないな。いつでも集まれるし」



るぅも後から来るんだ…。


じんわりと嫌な感覚が胸を締め付け、息を軽く吐き出した。



「ごめんね…今日は早めに休むよ。じゃあね」


「ももまたね!!」



笑って手を振ってくれる二人に、笑顔を作ってそそくさと部屋を出た。




混み合うバスの中で、ボーッと流れて行く景色を、ただ無心に眺めていた。