低く冷たい瑠衣斗の声によって、場の空気まで凍ってしまったようだ。
「るい、何で怒ってるの?」
いつまでも“天然”を演じ続ける彼女に、私はまんまと引っ掛かってあげた。
普通なら、こう言う場合泣いたりするんだろうな。
「るぅ、いいよ」
笑顔で言う私も、結構な演技派かもね。
じっと私を見つめる瑠衣斗は、何だか納得いかないような表情だ。
「悪気があって言った訳じゃないみたいだし、私は何とも思わないし」
「もも…?」
美春の心配そうな声が聞こえて振り返ると、唇を薄く開き、眉を寄せて心配した美春が私を見つめていた。
「何て顔してんの。気にしてないから」