「私、結構有名じゃん」
彼女の会話に、美春も瑠衣斗も止める隙がなかったようだ。
愕然とした表情の二人に、何だか申し訳ないと思う。
こんな事、前はしょっちゅう言われた。
好奇心は、時に見えない凶器になって、知らない内に人を傷付けたりするんだ。
でも、彼女の場合は、意図的な気もするのは何故だろう。
「すご~い!!まさかももちゃんとは思わなかったあ!!るい」おい、りな」
まだ続くんだ。何が凄いんだろう…。と、うんざりしかけた所で、瑠衣斗が低い声で彼女の名前を呼んだ。
「…え?なあに?」
私には、この子の魂胆が何となく読めた気がした。
瑠衣斗から私を遠ざけたいんだ。慶兄の言っていた言葉が、頭の中で浮かぶようだった。
無知は、子供ならまだ可愛い物。でも、この歳で無知な事は、怖い事だ。
この子は、私を傷付けて何がしたいのだろう。
「お前、いい加減黙ってろ」