「美春も学校辞めて、学生じゃなくてママになるんだあ」
「そっかあ。奥さんだね」
「きゃあ~!!もっと言って!!」
いつものような会話を弾ませていると、ふと美春が私の後ろに視線を向けた。
「あ」
「どうしたの?」
不思議に思いながら、ポカンと口を開けた美春の目線を追い後ろを振り返った。
沢山の人混みの中でも、一番に目につく人物に、心臓がドキッと反応し、目の前がクリアになっていく。
「るぅちゃんだ!!」
じっと見つめてしまった私の腕を、グイグイと美春に引っ張られ正面に向き直る。
「ねえ!!呼ぼうよ!!」
ワクワクしたように私に向かって言う美春は、目をキラキラさせている。
「え…よ、呼ぶ?」
何となく顔を合わせづらくて、乗り気でない返事をしてしまった。
宗太の家で話した以来、何となく避けていた。
指先が軽く震えそうな感覚に、こめかみがグッと締め付けられるような感覚になる。
ねぇねぇ!!と言う美春に苦笑いしていると、背後から声が聞こえた。
「るい~!!!!」