「何人くらい女の子連れてきたの?」

運転する慶兄の横顔を覗き込みながら、からかうように言ってみた。


「連れてかねえって!!行く時はいつも一人だ」


ちょっとムキになって言う慶兄が可笑しくて、笑いが漏れる。

「んな焦んなくても!!」


笑いながら言う私に、チラリと視線を向けると、不貞腐れたように慶兄が口を開いた。



「歳上をからかうな」


「からかってないから!!」



慶兄と他愛もない会話を弾ませながら、車は順調に家路に向かう。


これからまた1人になってしまうと思うと、少しだけ気が沈んだ。



胸に刺さって取れない棘のような物が、ジンジンと疼くように胸を締め付けた。