きっと、1人だったら考え過ぎていたと思う。
どうすれば良いのか分からない私は、結局悩むしかない。
誰にも相談するつもりもないので、胸中を吐き出してしまう事もできない。
慶兄と話をして、胸の中に出来てしまった重りが、軽くなったような気がした。
「息抜きできたか?」
景色に視線を戻した慶兄は、にこやかにそう言った。
背後では、ザワザワと木々がざわめく気配がする。
今はもう、怖いと感じる事もなくなってしまった。
「うん。慶兄ありがとう」
私を好きだと言ってくれた慶兄は、まんまと私に好きな人ができた事を見抜いてしまった。
経験の違いかな?
そう思ったが、今まで妹のように可愛がってもらっていた事を思い出し、思わず笑いが漏れた。
「そうやって、いつも笑ってろ。ももの笑顔は綺麗だ」