「…なあ、もも?」


ポツリと独り言のように名前を呼んだ慶兄を見上げると、正面を向いたまま穏やかな表情を浮かべている。


「うん?」


返事をしたもの、慶兄は何も言わない。

不思議に思いながらも、じっと慶兄の言葉を待った。



「…ももさ、好きな奴できたろ」


「……へ」


言われた意味が分からす、間抜けな返事が口からついて出た。


尚も見上げるしかない私に、慶兄はゆっくりと顔を私に向けた。


目を見開いて見上げるしかない私に、慶兄は笑みを浮かべたとても穏やかな顔で見下ろしている。


「…ぷっ…びっくりし過ぎ」


軽く吹き出すと、人差し指でおでこを軽くつつかれた。


「な…っえ?」


「当たりだろう?」


え…え!?何でっ……。


「ももさ、表情が変わった。言う事も」


「…変わった?」


言われて、美春や龍雅にまで変だと言われた事を思い出した。



私…変わった?何が??