しばらく車を走らせると、小高い丘のような場所へやって来た。
住宅街から離れているらしく、周りは明かりすらなく真っ暗だ。
少し開けた所へ出ると、駐車場のようで、街灯が一本だけ寂しく輝いている。
「…こわっ」
思わず鳥肌が立つのが分かり、背筋がゾクッとする。
簡単に車を止めると、慶兄が意味深に私に顔を向けて微笑んだ。
「歩くぞ♪」
「っ…えーっ!!!!」
本当に!?こんな真っ暗な中を!?
「んじゃお留守番頼む」
「もっと嫌!!」
お腹を折って笑う慶兄に、少しだけ殺意を覚えた。
エンジンを切ると、車内のせいではない程の静寂に、耳が聞こえていないんじゃないかと思う程だ。
「行くぞ」
「…はい」