「まあ、やりたいと思った事とか、興味がある事を進んでやってみる事だな。そん中で自分の目指していきたい事が見付かれば、儲けモンだろ?限度はあるだろうけど」
「うん、そうだね。……できるかなあ…私も慶兄みたいに」
夢なんて、考えた事もなかった。
親の望み通り、大学を出て、それなりに安定した仕事に就けばいいと思ってた。
「そんなに悩むモンじゃねえって。ゆっくりでいいじゃねえか」
そう言って、片手を私の頭に乗せると、優しく撫でてくれた。
「…うん。ありがと」
慶兄は、いつも根気よく私と向き合ってくれる。
優しく、見えなかった先を照らしてくれるような、温かい陽射しのようだ。
「最終的な目標は、やっぱりお嫁さんかな?ママになる事」
「ももにしては可愛い事言うなあ。美春に影響されたか?」
「ももにしてはって失礼だよ。美春に影響されたのは確かかもね」
慶兄と居るのは、すごく居心地がいい。似てないけど、瑠衣斗と兄弟だから、どことなく雰囲気が似てるのかな……。