「ナイトはどうしたの?」


「えっ?あ、ああ…」


ナイトって言うの止めてほしい。なんて今更だし言うのはやめた。


「どうもしてないよ」


目線を外しながら言って、タバコを取り出した。


あれから、携帯の電源は入れなかった。


掛かって来ないだろうけど、掛かってきた時困るから。


火を付けて、一口吸うと、煙を目で追った。


「彼氏じゃないんだよね?」


「ん?友達だよ」


友達かどうかも疑問に思え、思わず更にタバコを口にした。


「そっか。僕も友達だもんね」

見ると、ニッコリ笑って私の顔を見つめるが、何を考えているのかさっぱり分からない。


「そう…だね」


すぐに頼んだ飲み物が運ばれて来て、一旦話を止めた。


ジュリは、アイスのココアを頼んだ。


「僕、苦いモノ苦手なんだあ」

ペロリと赤い舌を出す姿は、何だかいたずらっ子のようで思わず笑ってしまった。


「なにそれ」


「初めて笑った!!」


…へ?

目をキラキラさせる姿は、本当に嬉しそうでこっちが戸惑う。

「ももの笑顔は天使だ」


うっとりと呟くと、ほのかに笑みを残して私を見つめた。


ブルーと黒の綺麗に混ぜられた瞳が、真っ直ぐ私を見ている。


宝石のような瞳に、見入られてしまいそうだ。