私、きっと、物凄く嫌な女だ。
でも、瑠衣斗の態度も酷いと思う。
私、何か攻められるような事した?むしろ、気を使ってあげたんだから、ありがとうの一言ぐらい言われてもいいんじゃない?
本当に、瑠衣斗が意味分かんない。
「私は、気を使ってあげただけ。るぅに攻められる覚えなんかないよ」
自分でも驚く程、冷静な声が出た。
「……」
驚くように目を見開いた瑠衣斗から、私は視線を離さないまま続けた。
「りなちゃんとお似合いだよ。頑張ってね」
そのまま玄関を開けると、私は玄関が閉まる前に走り出した。
何であんなに怒っているような顔するの?
私、何もしてないじゃん。
張り裂けそうな程胸が息苦しいのに、止まれなかった。
すっかり日の沈んだ住宅街を、私はただひたすらに走った。
私には、どこにも居場所なんてなかったのかもしれない。
形ある物は、いつか壊れる。
でも、治そうと思えば治せてしまう。
形のない物が壊れたら、もう、元には戻せない。
私と瑠衣斗の関係は、もう戻らないのかな…。