中へ入ると、薄暗い院内は非常口の緑色がやたらと目立っている。
長い薄暗い廊下は、どこまでも続いているように思えたが、呆気なく目的の場所へ着いてしまった。
ここに来るまで、病室は一度も見なかった。案内された場所は、処置室の前でも、病室でもなかった。
この扉の先には、どんな景色が広がっているんだろう。
見なくても分かる事は、確実に自分の人生がすでに変わってしまった事だけだった。
誰も一切口を開かなかった。
どうやって私はここまで着たんだろう?
どうして私はこんな場所にいるんだろう?
足が廊下とくっついてしまったようだった。