ガヤガヤと話し声の響く講堂の一番窓際に、私は肘をついてボーッと窓の外を眺めていた。


頭痛い…。気持ち悪い。


昨日は遅くまで俊ちゃんに付き合い、美春と三人でお祝いと称した小さな飲み会になった。


珍しく全く酔えずに、私は缶ビールや酎ハイを林立ちさせる程飲んだ。


俊ちゃんお酒強すぎだよ。付き合う人の事を考えてほしい。


自力でタクシーで家に帰ったのは、深夜2時を余裕で過ぎていて、化粧も落とさずにベッドにダイブしたんだっけ。


講義は昼からだったのに、遅刻する所だった。



あぁ…もう本当に気持ち悪い。

眉間にシワを寄せて、じっと目を閉じた。


頭が割れそうだ。


「ここ空いてる?」


突然聞こえた声に、ぱっと顔を上げた。


キョロキョロと辺りを見渡してみるが、私に対して発されたに違いなかった。


「君可愛いね。隣座るよ」


笑いながら私の隣へ腰をおろした人を見ると、全く知らない人だった。



一瞬瑠衣斗の顔が浮かんだが、今日は取ってなかったっけ?と思い、姿も見えない事に前を向き直った。



「名前、何て言うの?」


「…え」


ぱっと横を見ると、少し掘りの深い二重瞼に、淡いブルーと黒が混ざる瞳が、キラキラと陽射しを受けて輝いている。


…ハーフかな。


思わず見入ってしまう程綺麗で、サラサラの淡く明るい髪は、染めて出せるような色ではないなと思う程綺麗で、地毛のようだ。



こんなに綺麗な人、初めて見た。

綺麗な長い指が顎に触れていて、何だかとても魅惑的な雰囲気が漂っている。


ゆっくりと赤い形の綺麗な唇が動き、ポツリと言葉を漏らした。


「…天使だ」