「今までさ、ももがそうやって言う事なかったじゃん」
「…えっ」
言われて気付く。自分の変化。
何か短歌っぽいのできた。
「ねえ、今日何してたの?」
…あ。忘れてたよ。
美春の誘導尋問から、逃げ切れる自信がない。どうしましょ。
思わず目線を落としてしまい、慌てて前を向き直した。
「…えっとー…るぅちゃんの買い物付き合っただけだよ」
そう言って、更にキスした事や、下着姿を見られた事を思い出した。
ダメ!!余計な事思い出さないで!!
「俊ちゃん。ももが、隠し事してる。美春ショック」
「うん。俺もショック」
誰かこの夫婦何とかして。
「普通に買い物付き合って、お昼おごってもらったぐらいだよ。それで帰ったの」
「帰ってないよ!!信号のカッコーカッコー聞こえた!!」
…ああ、まあいいじゃないか。
「えー…改札で別れたの」
「別々で帰ったの?地下鉄なら方向一緒だよねえ?それに絶対るぅちゃんの車で買い物行ったんじゃないの?」
…しまった墓穴だった。
「んと…るぅが知り合いに会ったから…それで…」
言って、思い出した。瑠衣斗の手を握るあの“りな”と言う女の子。
胸が、ズキンと傷んだ。あの後、二人はどうしたんだろう。
今、二人で居るのかな…。