「すげー!!すげーぞ美春!!やったなあ!!」
「え!?しゅ、俊ちゃ…なんで…」
アワアワと慌てる美春は、突然の事に状況が掴めていないらしい。
俊ちゃんの肩越しから美春と目が合うが、訳が分からない。と言っているようだ。
思わず顔が緩み、笑ってしまった。
私の顔を見ていた美春は、みるみるうちに目が潤ってくる。
「美春、産んでくれ!!俺が全力で子供と美春を守るから!!」
あ~いいなあこーゆうの。
なんてドラマでも観ているように呑気な考えだ。
美春は、喉が詰まったように、声も出せずに涙腺を崩壊させている。
でも、しっかりと俊ちゃんの背中に手を回し、何度も頷いている。
こんな熱い俊ちゃん見た事ないなぁ。美春は愛されまくってんな。
ホッとして、お邪魔は消えようかなとそっと腰を上げた。
「もも!!」
「えっ?」
いや、そこは私じゃなくて俊ちゃんだろう。
まさか呼び止められるとは思わず、中途半端に腰を上げた状態で停止した。
「あ゛りがどぅ…っまだいでっ」
…俊ちゃんが何も言わない事が、やっぱり怖い。
「も゛も゛っ…」
「わ…分かったよ?」
やっぱり何も言わない俊ちゃん怖い。