「すごい…初めて本物見た」
手渡された物は、ペラペラの白黒のエコーの写真だった。
「これ…このちっちゃいゴマみたいなのが、赤ちゃんなんだって!!」
「…ちっちゃ!!」
ニコニコと笑う美春は、とても幸せそうで、私まで嬉しくなる。
「多分、来週くらいには、赤ちゃんの袋が見えるらしいの」
そう言って、写真を見つめる美春は、とても優しい笑顔だ。
女の人は、お腹に赤ちゃんが居ると知った時から母親になる。って聞いた事がある。
男の人は、産まれてから父親を自覚するって聞いた。
人それぞれだろうけど、美春はその通りだなって思う。
「楽しみだなあ~…。女の子かな?男の子かな?」
「ももが本当にパパみたい!!てか気が早いよ!!」
さっきまでの泣き顔が嘘のように、今はお腹を抱えて笑っている。
「そう?もう服とおもちゃ買う気満々なんだけど」
「だから気が早いから~!!」
すっかり赤ちゃんの話で盛り上がり、二人でインターネットを開いて見たりした。
美春には絶対幸せになってほしい。
私が描く美春の将来には、必ず俊ちゃんに居てほしいと、心から願った。