これからどうしよう…。
もちろん、予定なんて何も入れていない。
まだ夏のように日は長くないせいで、だいぶ空が暗くなってきている。
このまま帰ろう。
そう思い、青になった信号を渡り始めた時だった。
鞄に入った携帯が、しつこく電話を知らせている。
一瞬、心臓がドキッと跳ねたが、携帯を取りだそうと鞄に手を入れた。
るぅだったらどうしよ……。
そう思いながら、サブ画面を覗くと、全く的外れな相手からの電話で、ホッと胸を撫で下ろした。
「もしもし?」
歩きながら携帯を耳に当て、地下鉄は辞めて疲れたしタクシーにしちゃおかな。なんて考えながら出る。
「もも…?私…どうしよ……」
……え?
電話を掛けてきた美春は、いつものような元気な声ではなく、全く反対の泣きそうな声だ。
「美春…?どうしたの?何かあったの?」
耳を当てていると、ただひたすらに私の名前弱々しくを呼ぶ声しか聞こえてこない。
「今すぐ行く。待っててね?」
慌てて手を挙げてタクシーを停め、乗り込むと運転手さんに行き先を告げた。
さっきまでの潰されそうだった気持ちが、今は不安で揺れている。
なんとなく電話を切る事もできず、ただひたすらに美春に声を掛け続けた。