「――…もしもし?」
「唯ノ瀬さんですか?唯ノ瀬ももさんでしょうか?」
「はい。私ですけど…」
聞こえてきた声は、見知らぬ男性の太い声だった。
「突然申し訳ありません。私は港警察の者です。唯ノ瀬明人さんは、ご家族でしょうか?」
「あ、父ですけど…あの、」
警察…?お父さん?
何故警察から電話なのか、訳が分からず言葉が出なかった。
そんな私に、優しく冷静に話を続けた。
「弟さんとお母様もみえますね?」
「はい。えっと…」
ただならぬ雰囲気を感じ取り、心臓がバクバクと早く脈打ちだしていた。
「先程、ご家族が事故に合われまして――…」
「………事故…」
何かを続けて話されていたが、頭に入って来なかった。
何も考えられなくなった。
頭が真っ白になり、ただ携帯を握りしめていた。