お水とおしぼりと、メニューをテーブルへ並べると、簡単な説明をして、すぐに店員は去っていった。


見渡すと、イタリアがメインのお店のようで、忙しく動き回る店員が、パスタやピザを運んでいる。


「はあ。人間居すぎ」


瑠衣斗は、肘をついて頬に手をつくと、目を閉じてげんなりと溜め息をついた。


「るぅは田舎向きなんだよ」


さっきの仕返しとばかりに、そっぽを向いて窓の外を眺め、そんな事を言ってみた。


「ちっ…言い返せねえ…」


…あー…、そうなんだ。


何だかすんなりと認められると、こっちも勢いが出ない。


瑠衣斗はポケットからタバコとジッポを取り出すと、一本口に加え、眉間に皺を寄せて目を細め、小気味良い音を立てて火をつけた。


そんな表情にまでときめいてしまう自分って、痛い。


今まで普通に見てきた事が、こんなにも激変し、自分でも驚いた。