「とりあえず飯だな。何食いてえ?」


キョロキョロと周りを見渡しながら私に声をかけ、人波を避けるために壁側へとそのまま引っ張られた。


「ぷりん」


「…バケツごと持ってくんぞ」

瑠衣斗はそう憎まれ口を言いながら、ふっと笑うと、また人波へと進んだ。





少し歩くと、地上へ出て、大きな横断歩道を駆け足で渡った。

瑠衣斗は駆け足だけど、私は結構全力に近いんだけど。


ギリギリすぐに赤信号に変わり、軽い息切れに瑠衣斗の手をしっとりと握っていた。


さっきから、胸がチクチクと痛むけど、瑠衣斗の手の温もりに、段々と解されていくようだった。