休日とあって、かなりの賑わいだった。
地下街に入ると、人波に押し潰されそうになりながら、半ば意地で瑠衣斗の後を追った。
何とか潜り抜け、瑠衣斗に追い付くと、しっとりと額に汗をかいていた。
「ちゃんと付いてきたなあ」
からかうように言われて、ほぼ真上を見上げるように瑠衣斗に顔を向けた。
「本っ当に性格悪いねっ」
クスクス笑う瑠衣斗にそっぽ向き、からかわれた事に不貞腐れたように口を尖らせた。
どーせ私はチビですよ!!足短いですよー!!
完璧におへそを曲げてしまった私は、かなり機嫌の悪い顔をしているに違いない。
「ゴメンって。ほれ、こっちだぞ」
予想もしなかった事に、ドキッと心臓が反応した。
瑠衣斗とは反対側に持っていた鞄を、瑠衣斗は私から奪うと、左手で私の手を握った。
…何でそんな事するの?
一瞬にして心が浮上したかと思うと、すぐに急降下する。
悟られないように、何もなかったかのように瑠衣斗に従うしかなかった。