軽い頭痛に、眉をしかめた。
それが、今の私にとってはありがたい。
何も考えずに、ひたすら痛みが引くのを待つ事が、私にはちょうどいい。
らしくない事をするからだよ。
そう思うと、自分で自分に呆れて笑えてくる。
そっと痛みに目を閉じると、真っ暗闇で、本当に世界中でひとりぼっちになってしまったようだった。
「どうした?」
勢いよくドアが開けられたかと思うと、瑠衣斗の心配する声がして、目を開けた。
「あ…ん?何もないよ?」
ちゃんと笑えていないだろう。きっと、引きつった笑顔になっている事ぐらい、自分でも分かる。
瑠衣斗は一瞬表情を曇らせ、怪訝な顔のまま車に乗り込むと、私に向かって手を伸ばしてきた。
「…何考えてんだ」
そっと頬に触れると、眉を寄せたまま体を屈め、私の顔を覗き込んだ。
「…何も。お腹空いただけ」
笑って見せるが、瑠衣斗は納得のいかないような表情だ。
「行こ。本当に何でもないから」
言いながら、胸がスッキリする事は全くなかった。