恋愛ほぼ初心者の私にとって、自分の気持ちを素直に言う事は、無理だ。
感情のままに相手にぶつかって行くなんて、できなかった。
それに、瑠衣斗には好きな人が居るんだ。
どんな人かも全く知らないが、私なんかが敵うはずもないだろう。
長年、恋をする事を諦めていた私は、家族を失ってから自分の感情をなかなか表に出せなくなっていた。
今は、そばに居られるだけで十分。
瑠衣斗の新たな発見もできたし、何気にキスまでしてしまった。
瑠衣斗にとっては、何の意味のないキスかもしれない。
それでも、私は幸せだった。
そばで瑠衣斗の笑顔が見れるなら、気持ちは言わない。
言えば、今までの関係が崩れてしまうようで、怖かった。
恋って、甘くて、苦しくて苦しくて、とてもニガイ物なんだね。