「体ごとこっち向けて?」


そっと私の肩に触れると、軽く力が加わったので、私は頷くと、素直に従い瑠衣斗に向き直った。


もう、お嫁に行けないかもしれない…。


目線を下げたままでいると、急に目の前が陰った。


「…え?」


何気なく顔を上げると同時に、瑠衣斗の胸と肩の間ら辺に、顔を押し付ける形になった。


ぴゃーーっ!!!!


カチーンと固まってしまった私に対して、瑠衣斗は腕を回してホックを付けてくれた。


「はい。付けたぞ」


一瞬で、瑠衣斗の肌の暖かさや肌触り、少し甘い香りを感じ、心臓がギュッと縮む。


「まじちいせえなあ。ちゃんと食えよ」


気が付くと、そのまま瑠衣斗に抱き締められていた。


「…食う」


瑠衣斗に顔を埋めたまま、ポツリと呟くと、すっと腕の力が抜け、瑠衣斗と向き合う形になった。


「よろしい」


そう言って八重歯を覗かせて笑う笑顔に、胸か切なく疼いた。


…私、重症患者決定だよ。