だだっ広い客室にすんなり足を入れ、ドアを閉めると躊躇する事なくベッドへと足を進めた。
リビングから漏れてくる明かりと月明かりしかなく、見上げた瑠衣斗の無表情な顔がやっと分かるくらいだった。
顎先から喉仏にかけて、月明かりが照らし出し、何とも言えない色気を感じ、思わずみとれてしまう。
そこでようやく、みとれている場合じゃないと思い、慌てて声を掛けた。
「あの、るぅ…」
「…ん?」
ベッドの手前て足を止めると、上から瑠衣斗が顔を覗き込んでくる。
「えっ……と…」
瑠衣斗の瞳に、キラキラと月明かりが入り込み、何だか神秘的な雰囲気に言葉が出てこない。
この瞳に見つめられると、何だか胸がギュッと苦しくなってしまう。
瑠衣斗も変だけど、私も変だ。
いつもの自分の部屋ではない場所で、何だか落ち着かない。
普段滅多に自分の部屋とリビング以外、足を踏み入れる事はなかった。