え?と思った時には、瑠衣斗に横抱きにされていた。
「え!!ちょっとちょっと!!」
いつもの瑠衣斗なら、眠気のスイッチが入ると全く反応すらしないのに、今では軽々と私を横抱きにしている。
バタバタと暴れてみるが、瑠衣斗はびくともしない。
「落とすぞ。客室でいいだろ」
一定の音程で言われて、思わずドキリとしてしまう。
眠いからなのか何なのか。低い少し掠れた声に、ぐっと心臓が捕まれたようだ。
軽々と私を抱える腕に、ドキドキと心臓が加速する。
リビングの隣の客室は、扉を開けると直ぐだった。
抵抗を辞めて大人しくしていると、簡単に扉は開かれてしまった。
開かれた扉の先は、月明かりをカーテンの隙間から受けただけで、あとは暗闇が広がるだけだった。