小さい頃は、よく父の肩を揉んでいた。
広い背中と、ガッチリとした肩に、ムキになって肩を揉んだ記憶がある。
そんな私を、父はよく誉めてくれたっけ。
いつから、父の肩を揉んであげなくなったのだろう。
遠い記憶に懐かしさを感じながら、切なくなった。
私はきっと、親不孝な子供だったんだろうな。
「…もも?」
……ん?…あぁ!!
「あ、ゴメン」
いつの間にか、手に全然力が入ってなかったらしい。
慌てて揉み直そうとして、気が付いたら正座していた足を立ち膝にし直した。
「いーよ。もう十分」
そう言って、瑠衣斗は肩越しから振り返りながら、私の両手をつかんで笑った。
「えっ?もういいの?」
手を捕まれているせいで、意識してしまう自分に恥ずかしくなりながら、平然を装った。
「交代しようか」
平然を装う自分に、更に戸惑った。
私、どうしちゃったんだろ。