「すんごい…」


キッチンへ入った途端、香ばしい香りが辺りに漂い、自分がお腹を空かせている事に気が付いた。


「だから当然だって」


そう言った瑠衣斗は、しっかり盛り付けられたハンバーグのお皿を両手に持つと、口元だけで笑って見せた。


グッと心臓を鷲掴みされたように、胸が苦しくなった。


きっと、今さっきまでの状況に頭が切り替えられてないだけ。

そう自分に言い聞かせて、食器棚からグラスを二人分取りだした。








「…そんなに食べるの?」


「え?うん」


瑠衣斗のお皿には、一体何グラムあるのだろう?と言うような巨大なおろしソースのかかったハンバーグが盛り付けされている。


他には、湯通ししたブロッコリーやにんじん、ポテトサラダに、大盛りのご飯と玉ねぎのコンソメスープ付きだ。


「いただきま~す」


両手を合わせた瑠衣斗に見習い、私も手を合わせていただきますをした。


テーブルを挟んで目の前に座る瑠衣斗は、大きな口を開けてパクパクと箸を進めていた。



何だか小さな子供みたいで、思わず笑みがこぼれた。