約束…。
思い出そうとした時、私の目の前で組まれていた腕が緩んで、私の頬に触れた。
大きな暖かい掌に触れられた事にドキドキしていると、左側の頬に瑠衣斗が自分の頬をくっつけた。
胸がギュッとなって、息ができない。
目の前の景色が頭に入ってこなくて、全神経が瑠衣斗だけに集中している。
優しく頬を撫でる手に、何とも言えない胸の切なさが生まれた。
「俺は、寂しくない。ももとの約束があるから」
「…うん」
瑠衣斗の体温が、優しい掌が、頬に感じる瑠衣斗の柔らかな頬が、心地好い。
ずっと、こうしていてほしい…。
不思議と気持ちが穏やかになり、瞬きすら忘れていた私は、そっと目を閉じた。
瑠衣斗の暖かさが、全身に伝染するような感覚だった。