「…寂しいのか?」
低く、少し掠れた声が、頭の左側から聞こえ、思わず体を震わせた。
顎を私の肩に乗せるようにして話した瑠衣斗の声が、直接耳に届いてきた。
口を開く事ができず、驚きに身を固くするしかなかった。
頭が大混乱していて、何も考えられない。
ドキドキと加速する鼓動を落ち着ける事ができず、瑠衣斗に聞こえてしまっているような気がして、顔が赤くなるのが分かった。
頬に瑠衣斗のコシのある髪が触れ、更に腕に力を込められた。
「…るぅ…あの」
やっとの事で口を開けるが、言葉が続かない。
「ももは…寂しいか?」
もう一度耳元で囁かれ、頭の左側から全身が痺れてしまうような感覚が走る。
「俺じゃダメか?」
「…え?なにが…」
俺じゃダメ?何の事だろう。
瑠衣斗の言った意味が全く分からず、余計に頭が混乱する。
「約束。したから」