手際よく作業する音を背に、ソファーに丸まってテレビをつけた。


誰かか家に居るという事が久々で、何だかホッとした。


でも反対に、瑠衣斗が帰ってしまえば、またひとりぼっちになってしまうと言う寂しさも感じた。


「ねぇ、るぅ」


「ん?なんだ」


振り返らずに瑠衣斗の名前を呼ぶと、料理をしながら瑠衣斗は答えた。


「るぅは…家に帰って、ひとりぼっちじゃん?寂しい?」


「……」

ジャーと音を立てたままの、水道から水が勢い良く出る音が、テレビの音よりもクリアに聞こえる。


瑠衣斗が手を止めている事が背後から伝わってきた。


何も言わない瑠衣斗を不思議に思ったが、何か答えずらい質問でもしてしまったのか?と思った。



でも、口を開く事も、振り返る事もできなかった。



私は、後ろから瑠衣斗に抱き締められていた。


心臓が、ドクンと思いっきり跳ねた。

瑠衣斗の甘くて爽やかな香りが、ふわりと香って私を包み込んでいく。


背中から伝わる暖かさと共に、瑠衣斗の強い鼓動を感じる。


目の前には、袖を捲り上げた瑠衣斗の太い腕があった。


少し水滴が跳ねていて、艶やかな腕は水を弾いてキラキラと照明を反射している。


暖かい腕が、私を強く、でも優しく包み込んでいた。