「送り狼とか言われたしなあ…」


「…てか今更なに言ってんの」


呆れて答えると、瑠衣斗は八重歯を覗かせ、目を細めて笑った。


「満月じゃねえけど満月みてえだし?」


「狼男だったのか」


そんなくだらない事をまた話しながら、結局私の家に向かった。






ほんの数分車を走らせると、すぐに家に着いた。

ガレージへ車を停め、瑠衣斗が荷物を持って二人で車を降りた。


ガレージに隣接してある裏口から庭へ入ると、少し欠けた月が青白く真っ暗な家を照らしている。


誰も居ない事を表していて、何だか心が曇った。


見上げた月が、私達を見下ろしていて、月明かりだけがやたら眩しく感じた。