しばらく走ると、慶兄の住む立派なマンションへと到着した。
「お疲れなあ。もも、また連絡するよ」
座席の間から顔を覗かせて、真横に慶兄の顔がある。
「うん。私も連絡する。お疲れ様」
間近にある慶兄の整った顔を直視なんてできない。
きっとすごい顔してそう。
ドギマギしていると、慶兄がふっと笑った。
え?と思った時には、鼻を掴まれていた。
「本当に素直な反応だなあ」
「もお~!!」
軽く抵抗すると、慶兄はすぐに手を引っ込めて私の頭に手を乗せた。
「じゃあな」
ポンポンと私の頭を撫でて、甘~い笑顔で低く囁くと、すっと身を引いてドアを開けた。
一瞬で心臓がドキンと跳ねて、顔がほてっていくのが分かっる。
「おい、るぅ。家には俺が連絡入れておくから。宗太もまたな」
「じゃーね~」
そんな会話を最後に、バタンとドアが閉められた。
「……まじかあ…」
ポツリと瑠衣斗は呟くと、車を発進させた。
「今年の夏は予定があるから暇しねえな」
「…まじで来るのか」
げっそりと宗太の言葉に返事をすると、その言葉に宗太はケラケラと笑ってみせた。